マクリーン事件(S53.10.4)

在留期間更新不許可処分取消請求訴訟

本判例は、行政法の分野に属すると見ることもできるが、
憲法が国の最高法規である点からしても憲法問題としての比重を高めて解釈することがのぞましい。またそうでなければ解釈に過ちを生ずるものであり、またその過ちがあったが故に誤審となったと批判することができるのではないか。わたしは、横大道先生の発展的解説に多いにうけずけたのである。

そもそも、これは前国家的な憲法と後国家的な行政法と、どちらに重きを置いたのかという認識の問題になってくる。基本的人権と日本国民権のどちらを採用するのかということであり、これは死刑廃止論にも類似する議論になろう。わたしは、たった今ここで憲法第31条の解釈につき、適正手続(デュー・プロセス)について行政法と刑法の共通項をあらためて見い出すことができたのである。

憲法により最高価値あるものとされる基本的人権が、入国管理行政の一法律であるところの入管法によって初めて認められた法務大臣の裁量が完全無欠の自由であるはずがないのは、
帰化行政と同じである。

つまるところ最高裁は本判決で、原告の政治活動の程度の斟酌において個人の尊厳を軽視し、必要以上に国家の尊厳を重視したものと断ぜざるを得ない。ここに「個人」とは、わが憲法上、これが日本人であろうと
外国人であろうとなんらの優劣はないはずであり、外国人に対して色目を付けた判決とのそしりは免れるものではない。

不許可の理由が、当該外国人の無届の転職にのみよるものとしたのであれば、理由の余地はあったのかもしれないが、デリケートな基本的人権を扱うにあたっていたずらに理由を付け足すことに理由はないと考える。そういう意味では国家の名誉を自ら貶めた判決であった。

2007.12.15
参考文献 『判例から学ぶ憲法・行政法』p.2-p.9